この耳で生きていく

突発性難聴の日々を自分らしく暮らす

突発性難聴の日々の記録・発症~入院

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ある日突然、突発性難聴を発症。
2週間の入院を余儀なくされました。

 

入院中、暇で時間を持て余していたのもあり(右耳以外は健康だったので)、忘れないようにと、日記のようなものを書いていました。

忘れないようにというのも変だけれど、この体験を記録しないでどうする、と思ったのです。

 

というわけで、発症から入院、そして退院までを、日記形式でお伝えいたします。

 

 

入院の費用に関してはこちら。

kono33.hatenablog.com

 

 [:contents]

 

突発性難聴、発症!

 朝から右の耳がおかしい。

 
高い場所に上ったような、トンネルの中を通過しているような圧迫感。
そして、遠くの方でずーっと音がしている。
多分これは耳鳴りだと思う。初めてだから、多分。

 

時間が経ってもよくなるどころか、圧迫感と耳鳴りはどんどん激しくなる。

その激しさは、朝の「そのうち治るだろう」というところから大きくレベルアップ。

右耳に何か起きてる!

 

お昼を過ぎたころには、右耳はほとんど聞こえなくなっていて、怖くなる。
圧迫感もどんどん酷くなっていって、右耳だけがすごく分厚いものでググッと覆われている感じになった。


職場の人に症状を説明すると、「中耳炎じゃない?早く耳鼻科に行った方がいいよ」と言われ、家に帰ってからすぐに耳鼻科に行く。

中耳炎だったら痛いことされるかな・・・と不安になりながら、娘と一緒に車で近くの耳鼻科へ。

 

近所の耳鼻科へ

耳の中を診てもらうも、何も異常はない。その後、聴力検査を受ける。

聴力検査の結果を見て、少し驚いた顔をしながら先生が告げた病名は、突発性難聴だった。

中耳炎と共に、もしかしたらと、わたしの頭に浮かんでいた病名だったので、そんなには驚かなかった。

 

最近、キンキキッズ堂本剛さんが発症したというニュースを聞いたり、病名自体は何となく知っていたのだ。

先生は「この薬で様子を見て、効かないようだったら入院も考えて」と言った。

え、にゅういん??
入院するほどの病気ってことですか?
頭が真っ白になった。

 

さらに「後悔のないように治療していきましょう」と先生は続けた。
穏やかな顔とはうらはらな「後悔のないように」という言葉が気になる。

最後に「めまいはない?」と聞かれるも、「ありません」と答えた。
今思えば、最初に病院に行ったとき、少しふらつく感じはあった。

でもそれがめまいなのかどうか、めまいを体験したことがない私には分からなかったのだ。

もしこの時「少しだけふらつきます」と言っていたら、この後に訪れる、激しいめまいと吐き気は避けられたのか?とも思うけれど、どうしようもない。

 


薬をもらって家に帰り、少し寝ようと横になる。
先生に「寝不足じゃない?」と聞かれたから、寝た方がちょっとでも良くなるかなという無駄な抵抗だ。

でも、目をつぶると耳鳴りがより激しくなって、眠れず。
諦めて起き上がろうとしたとき、周りがグルっと回りだし、立ち上がれない。

何が起きてるんだーー

どうしようと思いながら、とりあえずじっとしていると、急激な吐き気に襲われトイレへ駆け込む。

 

めまいと嘔吐との闘いの夜

便器を抱え込みながら、吐き慣れていないから泣きそうになるも、胃が勝手に逆流。
何度も嘔吐。

これはただ事ではない。
仕事中の夫にメールを打とうとするも、手が震えてスマホを落とす。

突然の自分の状態に動揺して、震えが止まらない。
娘に夫にすぐに帰ってくるように電話をかけてもらう。

 


その後、ソファでおとなしくしていると、定期的にめまいと吐き気に襲われ、その度にトイレにこもる。

夫がすぐに帰ってきてくれて、娘と一緒にコンビニの弁当を食べていた。
その匂いにも気持ち悪くなって、2人の食事中だけ別室に退避。
つわりの、何倍もすごいヤツという感じの気持ち悪さだった。

 


昼間に耳鼻科でもらった薬も、飲んだ途端に吐いてしまったので、効き目は期待できず。

このまま夜中家にいるのも不安で、夫に診てもらえる病院がないか電話で聞いてもらう。
でも耳鼻科の専門医は夜間は不在で、行ってもすぐに帰ることになるかもという事だった。
移動中に嘔吐してしまうのも心配だったから、朝まで待って、昼間に行った病院に紹介状を書いてもらって入院させてもらうことにする。
っていうか、それしか選択肢がなかった。

 


というわけで朝まで、1・2時間おきにやってくるめまいと嘔吐との闘いが始まる。

吐き気がいつきてもすぐに駆け込めるように、トイレのドアも、便器のふたも開けっ放しにしておく。

電気もつけっぱなしの開け放たれたトイレが、準備万端という感じでわたしを待っていた。
それが何だかおもしろくて、夫と笑う。
こんな状況でさえ笑えるということに、少し救われる。

 


横になるとめまいが激しくなるので、夜も座ったまま、録りだめしたテレビ番組をみてやり過ごす。
頭を少しでも横にすると、めまいが襲ってきそうで怖い。

 

 

眠れないから、スマホで「突発性難聴」について調べる。

原因として考えられるのは「ストレス」や「寝不足」という事だけれど、思い当たり過ぎた。
だってめまいが激しくなる中、「もう仕事も何もかも全てほっぽりだしてもいいんだ」とホッとしていたのだから。それが表している。

 

入院

長い長い夜が明け、病院が始まる時間を待って電話する。

紹介状を書いてもらい、総合病院の耳鼻科へ。

耳鼻科へ着くと、すぐに聴力検査。
不思議と吐き気は収まっていたけれど、症状が酷すぎて、検査中座っているのもやっとという状態。

その後にめまいの検査。

先生がわたしの座っている椅子をゆっくりと倒すのだが、遊園地のコーヒーカップを思いっきり回されているように、グルグルと目が回る。
それを見て先生は、即座にどういう状態か悟ったみたい。

「入院するって聞いてるよね?」

「はい」

「じゃあ2週間入院ね」

え、えーー!
2週間もーー??

なんとなく1週間くらいかと思っていたから驚いた。8歳の娘の事が頭をよぎったけれど、治るなら何でもいいやという気持ちになる。

というわけで、2週間入院することになった。

夫に支えられながらしか歩けないのに、「初めての入院だ~」とちょっと浮かれる。
多分、めまいと嘔吐の一夜から解放されると思って、ホッとしたのだ。

 

病棟から車いすを持って看護師さんが迎えに来てくれる。

人生初の車いすに乗りながら、何だかすごいことになっちゃったなぁと思う。