この耳で生きていく

突発性難聴の日々を自分らしく暮らす

入院中におすすめのエッセイはこれ!30代後半女子が選んだ5冊

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こんにちは。カナエです。

突発性難聴での入院中、一日の大半をベッドで過ごす暇な日々。スマホで病気について調べまくり、ナーバスになりがち。
そんな時、本や雑誌を読んで気分転換していました。

入院中は・・・

  • 酷い症状真っ只中なので、あまり暗い内容はイヤ
  • 大部屋でも心置きなく読める、笑い重視ではないもの
  • 長編を読む気分ではない

という気分。もちろん、本を読む気にならない時もありました。なので、気が向いた時に好きなところを読めるエッセイがいいんじゃないかなぁと思います。というわけで、おすすめのエッセイをご紹介します。

『第2図書係補佐』(又吉直樹

第153回芥川賞作品、又吉直樹さん著『火花』は読みましたか? 

ミーハーなわたし、もちろんすぐに読みました。ですが、前半はちょっと我慢、我慢、後半は泣ける。という感じ。

そんな『火花』の何十倍も心揺さぶられたのは、又吉さんのエッセイ『第2図書係補佐』です。

吉本の劇場のフリーペーパーの連載と、書き下しで構成されているこのエッセイ。この中で又吉さんは読んできた本を紹介しつつ、自身を語ります。
ただの書評ではなく、ただのエッセイでもない。「本」という切り口で、自分のこれまでのことが、いろいろな角度から、様々なニュアンスで書かれています。とにかく文才がすごい!

もし『火花』が正直びみょーで、作家・又吉直樹に興味がなくなったなら、『第2図書係補佐』をおすすめします!
わたしはこの中に紹介されている本を、何冊か買いに走りました。
この人が勧めるなら間違いないかもと思わせるおもしろさが、そこにはあります!

 

『映画にまつわるxについて』(西川美和

映画監督の西川美和さんの名を知ったのは、映画『ゆれる』を観てからです。映画があまりにも衝撃的で、ご自身が書かれた原作の小説『ゆれる』も読みました。

そして小説くらい興味深いのが、エッセイ集『映画にまつわるxについて』。

映画の製作での出来事がよく登場するのですが、作者にとってはごく日常の風景でも、一般人には興味深く、面白いエピソードが満載。 西川作品のファンなら、なおさらです。

よく文章ってその人そのもの、と言いますよね。 このエッセイからは、潔く男っぽい、でも割り切れない感情を大事にする柔らかさを併せ持つ、そんな西川美和像が浮かび上がります。

この作品で西川美和さんにはまったら、映画化された小説『永い言い訳』も是非。おすすめです。

『木皿食堂』(木皿泉

ドラマ『すいか』や『野ブタ。をプロデュース』を手掛けた脚本家・木皿泉さん。 和泉 務(いずみ つとむ)と妻鹿 年季子(めが ときこ)夫妻の共作ペンネームだそうです。

木皿泉さんのエッセイは、シリアスな部分もありつつ、グッとくることが多いです。

言い表せないような気持ちとかを、「言葉にすると、こういうことだ!」という感じでエッセイに書かれていて、炸裂する、文章の力!です。

その感性を、そしてそれを伝える表現力を、存分に味わえる一冊です。

『父の詫び状』(向田邦子

向田邦子さんが子供時代を振り返るエピソードが多いのですが、当時の日本の家庭(かなり裕福な方なのではと思われますが)の様子が、面白おかしく描かれています。

それにしても、約40年前に書かれたものなのに、全然古びてない! 時にせつなく、グッとくる場面もあります。
トイレが「御不浄」と表現されていたり、時代差での「?」は多々ありますが、向田邦子さんの感性や思いは、現代を生きるわたしもとても共感できるものです。 素晴らしい作品は、時を超えますね。

表題作『父の詫び状』は、昭和の「ザ・父親」と娘・邦子のエピソード。この中で一番好きです。知的にそして静かに心を揺さぶる、大人のエッセイ。おすすめです!

『いのちの車窓から』(星野源

俳優・星野源、好きです。でも文筆家・星野源はもっと好き!

この『いのちの車窓から』は、実際に入院中に読んでいました。星野源さんも大病を患って闘病していたということもあり、なんだか勝手に親近感を覚えつつ。

自虐的で繊細、そんな文章からは、テレビや映画で活躍されている姿からは想像できない、原点や素の部分が垣間見えるようでした。

こちらもかなりおすすめです。 

まとめます。

選んだのは30代後半女子のわたしですが、エッセイが好きな方なら、どなたでもおすすめの5冊です。

実際に読んでいたのは『いのちの車窓から』の1冊。もしその他の4冊を入院中に初めて読んだなら、泣いただろうなぁと思います。病気の時って涙腺も弱くなりますよね??

決して、時間をつぶすための軽めのエッセイではありません。でも病気のことばかり考えてしまう時には、こんな引き込まれる本もいいかなと思います。

是非、暇でも暇でなくても、読んでみてください!